住宅金融術

墓じまいと仏壇の今後——これからの供養と住まいのカタチ

少子高齢化やライフスタイルの変化に伴い、「墓じまい」をする家庭が増えています。
それに合わせて、仏壇のあり方も変わりつつあります。

「お墓は墓じまいしたけれど、仏壇はどうすればいい?」
「実家の仏壇を引き継ぐのが難しい」
こうした悩みを抱える人が増えている今、供養の方法も現代の暮らしに合った形へと進化しています。

今回は、墓じまいの手順や資金計画に加えて、仏壇の今後の選択肢についても詳しく解説します。

1. 墓じまいと仏壇の関係

墓じまいを考えるとき、仏壇の扱いについても考えておく必要があります。
特に、実家の仏壇をどうするかは、多くの家庭で問題になりがちです。

墓じまいと仏壇の関係性
✔ もともと仏壇とお墓はセットで考えられていた
✔ 墓じまい後、仏壇の必要性を再検討する人が増えている
✔ 実家を手放す場合、仏壇の管理が問題になる

「お墓がなくなったから仏壇も処分する」というわけではなく、新しい形で供養を続ける方法を考えることが大切です。

2. 仏壇の今後、どうなる?

昔ながらの大きな仏壇を維持することが難しくなった一方で、現代の暮らしに合った新しい仏壇の形が登場しています。

① 仏壇の大きさと住宅事情

かつての仏壇は、和室の床の間や仏間に設置する大きな「金仏壇」「唐木仏壇」が主流でした。しかし、最近の住宅事情を考えると、次のような課題が出てきています。
✔ 和室がない → 仏間を作るスペースがない
✔ マンションや狭小住宅では大きすぎる → コンパクトな仏壇が求められる
✔ インテリアに合わない → 洋風の部屋に馴染むデザインが人気に

その結果、リビングや寝室の一角に小さなスペースにを作り「コンパクト仏壇」や「モダン仏壇」と呼ばれる、より省スペースで現代の住宅に合う仏壇を置く家庭が増えています。

② 仏壇の方角と間取りの影響

仏壇を設置する際、方角についての考え方があります。
✅ 東向き・南向きが吉(仏教では「日が昇る東」を尊ぶため)
✅ 西向きは避けることが多い(浄土真宗では西方極楽浄土の方向とされるが、他の宗派では避けることも)
✅ 鬼門(北東)や裏鬼門(南西)を避ける(風水的な考え方)

こうした伝統的なルールが間取りに影響を与えることもありましたが、最近は「家族が手を合わせやすい場所に置く」ことを優先する考え方が広がっています。

③ 住まいの変化に合わせた新しい仏壇のスタイル

仏壇を置くスペースが確保しづらいことから、次のような新しいスタイルが増えています。
✔ 壁掛け仏壇・ミニ仏壇 → 場所を取らず、リビングや棚の上に設置可能
✔ モダン仏壇(家具調仏壇) → 洋風の部屋に馴染むシンプルなデザイン
✔ 手元供養 → 骨壺や小さな位牌をインテリアのように置くスタイル

また、仏壇を持たない供養方法として、永代供養付きの寺院納骨堂やデジタル供養(オンライン法要)を活用する家庭も増えています。特に、遠方に住んでいる家族でも供養できるオンライン法要は、今後ますます広がる可能性があります。

④ 仏壇も住まいに合わせた形へ進化している

伝統的な大きな仏壇は、現代の住宅には合わなくなってきている
✅ 方角の考え方も、利便性を優先する傾向に
✅ コンパクトな仏壇やモダン仏壇が増え、住まいの変化に対応

仏壇の役割そのものは変わりませんが、「自分の住まいに合った仏壇の形とは?」を考えることが大切になっています。また、先祖代々の位牌を一つにまとめる方法もあります。位牌が増えて管理が難しくなった場合、「先祖代々之霊位」として一本にまとめたり、過去帳(紙やデジタル形式)に記録することで、限られたスペースでも供養を続けやすくなります。

3. 仏壇の処分方法

仏壇を手放す場合、適切な方法で処分することが重要です。

① お寺で供養してもらう

仏壇の魂抜き(閉眼供養)をしてもらい、その後処分する方法です。
✔ お寺によっては引き取ってくれる場合もある
供養料の相場は1万〜3万円程度

② 専門業者に依頼する

最近は、仏壇の引き取り・供養サービスを行う業者も増えています。
✔ 家まで回収に来てくれる
✔ 供養と処分をセットで依頼できる
費用は3万〜5万円が相場

③ 家族で処分する

自治体の粗大ごみとして処分することも可能ですが、その場合は必ず供養を済ませてから処分しましょう。

4. 墓じまいと仏壇整理の資金計画

墓じまいと仏壇整理には、それぞれ費用がかかります。

これらの費用を一度に準備するのは大変なので、早めの資金計画が重要です。

終活資金として積立をする(毎月1万円ずつなど)
生命保険を活用する(葬儀費用と合わせて準備)
家族と相談し、費用負担を分担する

5. これからの住まいと供養を考える

墓じまいや仏壇整理を考えるとき、今後の住まいについても一緒に考えることが大切です。

① 住まいをコンパクトにする時代へ

実家を整理し、小さな家に住み替える
賃貸や高齢者向け住宅を選ぶ
リフォームで老後の暮らしに適した家にする

② 住まいと供養のバランスを取る

住まいを整理するなら、供養の方法も「管理しやすさ」を考えましょう。

✔ お墓と同じように、仏壇もコンパクト化する
✔ 家族が負担なく供養できる方法を選ぶ
デジタル供養や手元供養を取り入れる

6. まとめ 自分らしい供養の形を選ぼう

「墓じまい」や「仏壇の整理」は、単なる処分ではなく、未来の家族のための準備です。

無理なく続けられる供養方法を選ぶ
仏壇も暮らしに合った形へ変えていく
住まいと供養のバランスを考える

供養の形に正解はありません。
「自分たちの暮らしに合った供養とは何か?」を考えながら、新しい形を選んでいきましょう。

墓じまいを考える——これからの住まいと供養のカタチ
少子高齢化やライフスタイルの変化に伴い、「墓じまい」をする家庭が増えています。 お墓を維持することが難しくなったり、次の世代に負担をかけたくなかったりと、さまざまな理由から供養のあり方を見直す動きが広がっています。
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